つむじ通信8
つむじ通信8

気を徹す「つむじ理論」よりの提言
アトピーが治ればガンも治る
2008年5月に、『つむじ通信』(第6号)で、「重篤な病気を未病の段階で治す」という記事を書いた。
いまの医学界においては、「未病とは何か」について議論百出の状態でありながら、明確な答えは出せていない。
昨年、安保徹先生(新潟大学大学院教授)は「病気になる前の状態」と答え、私が理事長をしている日本自律神経免疫治療研究会会員で東洋医学に詳しい医師からは返事をもらえないままになっている。
私に言わせれば、「免疫とは何か」がわかれば、「未病とは何か」は実に簡単であると思うのだが……。

そこで今回は、重症のアトピー性皮膚炎の症例について述べながら、免疫について私の考えを述べたい。
1997年の暮れごろから、軽いアトピー性皮膚炎の患者に対し、井穴・頭部刺絡療法(浅見鉄男医師が考案)で治療を行い、かなりの手応えを得ていた。
1998年5月、ホテルを経営している友人が突然やって来て、「ホテルでアルバイトをしている17歳の学生が、アトピーで悩んでいるので治してほしい」と言う。
私は軽い気持ちで治療を引き受けたが、この学生を見たとたん、思わず息をのんだ。
彼は人間なのか? あまりにも人間離れしている様相なのである。いままでこんなアトピーがあるなんて、見たことも考えたこともなかった。
これまでに来た患者は、総じて「アトピーは治らない」「どこに行ってもステロイド剤の使用だけでもう治らない」とあきらめていた、軽症から中程度の症例であった。
私にとっては、やっと井穴・頭部刺絡療法という新しい治療法が見つかったので、「やらんばならん」と思っていたときだった。
「免疫が上がれば病気は治る」という理論と、浅見先生直伝の井穴・頭部刺絡療法があるので、「ままよ」という気持ちを自分に言い聞かせた。「やるしかない!」と清水の舞台から飛び降りる覚悟で治療を行った。
治療1カ月後、彼が突然自宅に来た。「目が開かないし、ものがよく見えないんです」と言う。顔面だけでなく、全身から臭気を帯びた液体がたらたらと流れ出ていた。
そこで、新潟市から50キロ先にある、当時私が勤務していた病院に入院させ、皮膚の保護(活性炭入りの軟膏)と輸液を行った。
このとき、ステロイド剤を使用すれば楽になるはずだと思ったが、理論に反すると我慢した。毎日朝夕、神様に「彼を助けてください」とお祈りするしかなかった。夜中になると「突然症状が悪化して、白内障で目が見えなくなったらどうしよう」などの不安が交錯し、不眠が続いた。
幸い、1カ月後には食欲が出てきて、くさい浸出液が少なくなった。顔、手足のアトピーの部分が小さくなり、約2カ月後には退院していった。
もしこのとき、白内障で手術を要したら、いまの自律神経免疫療法は存在しなかっただろうと思う。そして彼は、1年の浪人後、念願の「早稲田大学に入学した」とお礼を述べて帰った。
その後彼は、二度と来なくなった。
この結果を振り返ってみると、まず後藤艮山(江戸中期の漢方の名医)の「百病は一気の留滞により生ず。病瞑眩せざれば、一病も癒えず」という名言に行き当たる。なぜ日本の医学は、このことを理解しなかったのだろうと思う。
アトピーの瞑眩とは、体に蓄積した酸化したステロイドを排出することである。軽ければ湿疹程度ですむが、彼の場合のように重症だと、体中からくさい浸出液が出るようになる。この瞑眩がなければ、ステロイドによって悪化したアトピーの治癒はありえない。
彼が約1年10カ月で治癒した理由は最後に述べるが、その前に私の考える「21世紀の医療」の考え方を述べておく。
●病気は自分自身がつくり出したものである。よって、自分の力で治せる。
●人間には限りない「治ろうとする力」があることを認識してほしい。
●病気を治すのは、95%は患者自身の力である。自分自身で工夫し、努力すること。医療関係者ができるのは残りの5%前後である。この5%の仕事とは、病気に対する患者の恐怖心をやわらげながら、患者の性格や考え方を考慮し、自己治癒力を高める手伝いをすることである。
●病気を治す免疫力は、顆粒球とリンパ球のバランスにある。バランスを崩せば病気になりやすくなる。
●免疫とは白血球そのものであり、免疫の「力」は白血球の数である。そして顆粒球とリンパ球の割合は、免疫の「質」である。
この「21世紀の医療」の考え方に行き着くには、患者から学んだことが大きかった。また、道元禅師(曹洞宗の開祖。歯磨洗顔、食事の際の作法や掃除の習慣を広めたといわれる)、貝原益軒(身体の養生と心の養生を説いた『養生訓』の著者)、後藤艮山、水野南北(江戸時代の観相家)、齋藤章(元東北大学医学部講師)、浅見鉄男、石渡弘三(交流磁気治療器の開発者)、宮本直吉(電子鍼の製造元・管洸精器の社長として活躍中)などの先人の教えと知恵を借りた。
いままでのガン、アトピー、うつを中心とした患者のカルテにある初診時のリンパ球数から、おおよそ以下のことがわかった。
1 初診時のリンパ球の割合が24%以下の人(過度の交感神経優位)は、治癒まで2年以上の期間を要する(患者が目をつぶってまぶたに浮かぶイメージは黒)
2 初診時のリンパ球の割合が25〜34%の人(交感神経優位)は、治癒まで約1〜2年の期間を要する(イメージは青)
3 初診時のリンパ球の割合が理想的な範囲にある35〜41%の人は、治癒まで約6カ月の期間を要する(イメージは茜色)
4 初診時のリンパ球の割合が42〜49%の人(副交感神経優位)は、治癒まで約6カ月〜1年の期間を要する(イメージは赤)
5 初診時のリンパ球の割合が50%以上の人(過度の副交感神経優位)は、治癒まで約1年以上の期間を要する(イメージは白)
そして、「未病とはリンパ球の割合でいうと30〜34%、あるいは42〜45%である」ことが明らかになった。もちろん、理想的なリンパ球の割合である35〜41%でも「未病」の人はいるが、発症しても治癒までの期間は短くてすむ。
この理論を応用すると、古代中国の医学書にある「未病」「陰と陽」「虚と実」などの謎を次々と解明することができるようになると考えている。
最後に、先に述べたアトピーの患者をこの観点から見直してみよう。
初診時のリンパ球の割合は22%で過度の交感神経優位、まぶたに浮かぶイメージは「黒」である。治癒までは2年以上の期間が必要となる症例である。
ところが、彼は約1年10カ月の治療期間であった。リンパ球の割合は22%と低く「質」では劣るが、1立方ミリメートルあたりの白血球数は7900で、白血球の数が多く「力」があった。1立方ミリメートルあたりのリンパ球の数は1738で、リンパ球の実数も多かったからだと判定した。
アトピーもガンも同じである。初診時のリンパ球の割合が先に述べた1〜5のどこに入るかを見て、理想的な35〜41%に入るようにもっていけばいいだけのことである。ただし、1、2に相当する交感神経優位のタイプは、リンパ球を増やすのに時間がかかるので、治癒までの期間が長くなる。そして、4、5に相当する副交感神経優位のタイプは、治癒までの期間が短くてすむことがわかった。
2008年9月3日
福田 稔
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